不動産の相続登記が義務化された背景は?内容と相続したくない方を解説

相続登記

不動産の相続登記が義務化された背景は?内容と相続したくない方を解説

以前までは任意だった相続登記が義務化されているのをご存じでしょうか?
法改正に伴い過去に相続した不動産も名義変更が必要で、放置すると10万円以下の罰金が課せられる可能性があるので、相続した不動産がある方は確認が必要です。
本記事では相続登記が義務化された背景や具体的にどんな手続きが必要になるのか、相続したくない土地に使える新しい制度について解説します。

不動産の相続登記が任意から義務化に変わった背景

不動産の相続登記が任意から義務化に変わった背景

相続登記とは、被相続人(亡くなった方)から相続人(遺産を引き継ぐ方)に土地や建物の所有名義を変更する手続きを指します。
法務局にて管理されている登記簿に記載されている所有者は、土地や建物を適切な状態に管理する義務が課せられるほか、売却や増築などの重要な決定権を持ちます。
以前までは名義変更が任意だったため、売却や増築する予定のない方たちが相続登記をせずに放置してしまった結果、いくつかの社会問題が生じるようになりました。
相続後の名義変更が義務になった2つの背景について解説します。

所有者不明不動産の増加

所有者不明の土地とは、法務局が管理している登記簿をみても所有者がわからなかったり、所有者との連絡がつかなかったりする状態を指します。
国土交通省の調査によると、所有者不明の土地は約410万ヘクタールに達し、九州の面積(367万ヘクタール)を超えるといわれています。
所有者が亡くなったときに名義人を変更しなければ、自治体が連絡しようとしても所有者が死亡しているので連絡できません。
また、相続に限らず所有者の住所や連絡先が変わったときも情報を更新しなければ、所有者が生きていても連絡できません。
所有者に連絡できない状態になると、公共事業や復興事業の妨げになったり、老朽化が進む空き家が放置されると不法投棄や倒壊リスクなどのトラブルにつながったりします。
こういったトラブルを解消するためには、土地や建物の所有者を明確にする必要があり、相続時の名義変更が任意から義務に変更されました。

メガ共有状態での放置

メガ共有状態とは、名義変更をおこなわないまま次の世代へと渡り続けた結果、数十人から数百人以上の規模で土地や建物の共有状態が発生している状態を指します。
土地や建物の所有者が死亡したとき、法定相続人の数に応じて平等に財産が分配されますが、現金とは異なり物理的に分配のむずかしい不動産は放置されるケースも多いです。
法定相続人が3人いた場合、放置したまま法定相続人の1人が死亡すると、土地や建物の所有権が細分化されて共有者の数が増えてしまいます。
このように最初の所有者から何世代にも渡って相続が繰り返されると、自分が共有者であるとも知らずに生活する方も出てくるでしょう。
土地や建物を売却・増築するためには共有者全員の合意が必要なので、共有者の数によっては話し合いがまとまらない恐れがあります。
これ以上メガ共有状態によるトラブルを防ぐためにも、相続時の名義変更が任意から義務に変更されました。

法改正されたあとの不動産の相続登記の内容と無視したときのペナルティ

法改正されたあとの不動産の相続登記の内容と無視したときのペナルティ

不動産の相続登記の申請義務化は、2024年(令和6年)4月1日からはじまりました。
相続登記では登記名義人の氏名または名称、住所変更の登記の義務付けがされていて、この申告を無視するとペナルティの対象になります。
法改正されたあとの相続登記の内容と無視したときの罰則について解説します。

相続登記が義務化された内容と申告期限

相続登記が義務化されたからといって、すべての相続人が手続きをする必要があるとは限りません。
土地や建物を相続するときは名義変更の手続きは必要ですが、預貯金や金融商品のみを相続するときは名義変更の手続きは不要です。
相続登記が必要な条件と申告期限は、以下のとおりです。

●土地や建物を相続したケース:相続があるとわかった日から3年以内
●遺産分割協議が成立したケース:協議成立日から3年以内
●2024年4月1日以前に相続したケース:相続があるとわかった日から3年以内


名義変更の法改正に伴い、2024年4月1日以降の相続のみでなく、それ以前に相続した土地や建物にも名義変更をするように義務付けられました。
過去の土地や建物に関しては、相続があるとわかった日もしくは施行日から3年以内のいずれかが適用されるので、遅くても2027年4月1日までに申請を済ませてください。

義務化に伴い簡易化された相続人申告登記

相続時の名義変更を義務化すると同時に、簡単に相続人申告登記ができるようになりました。
被相続人から土地や建物の所有権を受け取ると決まった方が、登記官に相続する事実と登録名義人になる意思を申し出ると、一時的にですが申請義務を果たしたとみなされます。
この手続きをおこなった後に、正式な登記をおこなう必要があります。
登記に付記する手続きは、あくまで被相続人から相続人に所有者が変わると報告を受けた記録を残しているだけのため、正式な相続登記は別途おこなう必要があるので気を付けましょう。
申し出たあとに、法定相続人で遺産分割協議をして土地や建物の所有者が正式に決まったら、遺産分割協議日から3年以内に名義変更の手続きをおこなってください。

申告漏れは罰金対象

新しい法律を無視して期限内に名義変更をおこなわなければ、10万円以下の罰金が課せられる可能性があります。
法定人の数が多くて話し合いが長引いたり、申請義務者が身体的な事情を抱えていたりする場合、法務局が事情を考慮して罰金を免除するケースもあります。

相続したくない不動産を国庫に帰属する方法

相続したくない不動産を国庫に帰属する方法

所有者不明の土地や建物が増加する社会問題を解決するため、名義変更を義務付けると同時に、一定要件を満たすと国に返還できる相続土地国庫帰属制度が制定されました。
相続土地国庫帰属制度の概要と手続き方法について解説します。

土地所有権放棄して国庫に帰属可能

農地や山林のように、相続すると所有者の負担になりうる土地を手放したいとき、法務局に申請をして審査に通過すれば国庫に帰属できるようになりました。
ただし、建物が建っている土地・境界線や所有権などの権利問題でトラブルを抱えている土地・道路などで使用される予定がある土地などは対象外です。
相続したくない土地を誰でも手放せる制度ではなく、審査に通った土地の所有者も、所有権を手放してから10年分に相当する管理費の支払いが求められます。
以前までは、手放したい土地に対する対処法が相続放棄しかなかったため、引き継ぎたい財産がある方は相続するしかありませんでした。
その点、法改正によって、土地のみを手放せるようになりました。

相続土地国庫帰属制度で必要な手続きと負担金

相続土地国庫寄贈制度の利用を検討している方は、各都道府県の法務局の不動産登記部門の窓口に出向いて相談します。
このとき、法務局が公開している相続土地国庫帰属相談表とチェックシートを記入して、土地状態のわかる資料や写真を持参するとスムーズです。
続いて、作成した申請書類を法務局に申請すると、現地調査がおこなわれて申請結果がでます。
無事に承認されたら、期日内に負担金を納付して完了です。
負担額は土地の評価額や法務局での査定により異なりますが、一般的には固定資産税額のおおよそ10年分に相当するといわれています。

まとめ

放置された土地や建物が問題になっているため、2024年4月1日より相続したすべての不動産が名義変更をするよう義務付けられました。
同時に、相続人申告登記や相続土地国庫寄贈制度のように、手続きが簡易化されたり所有者の負担を軽減する制度も制定されています。
放置すると罰金になる可能性があるので、期日内に手続きを済ませましょう。


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