相続した不動産を売却する手続き方法とは?税金と注意点についても解説

親が所有する不動産は、相続が発生した際に子が引き継ぐのが一般的ですが、利用する予定がないため売却したいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産の売却時には税金が発生するため、どのような税金が課されるのかを事前に把握しておくことが大切です。
そこで今回は、相続した不動産を売却する際の手続きの流れと、売却時に発生する税金、注意点について解説します。
不動産の相続を控えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
相続した不動産を売却するまでの流れ

まずは、相続した不動産をどのようにして売却するのか、売却までの手続きの流れや必要書類について解説します。
相続手続きの流れ
亡くなった親が所有していた不動産を売却するためには、まず相続手続きをおこなう必要があります。
相続手続きが完了したら、通常の流れで不動産を売却できます。
相続が発生してから売却までの一連の流れは、以下のとおりです。
相続人と相続財産を確定する
だれが遺産を相続する権利を持っているのか、どのような財産があるのかを調べなければなりません。
したがって、まずは法定相続人と相続財産を調査して確定させます。
遺産分割協議をおこなう
被相続人が遺言書を遺している場合は、その内容どおりに手続きを進めるのが基本です。
遺言書がない場合には、民法で定められている相続順位とその法定相続分(相続割合)に沿って遺産を分割するのが一般的です。
あるいは、遺産分割協議で決めることもできます。
遺産分割協議とは、だれが、どの財産を、どれくらいの割合で相続するのかを、相続人全員が話し合って決めることです。
遺産分割協議で全員が合意すれば、法定相続分以外の割合で分割することができます。
相続登記をおこなう
不動産の売却は、名義人でなければおこなえません。
相続した不動産の場合は、その名義を被相続人から相続人に変更する手続きが必要です。
これを「相続登記」といいます。
不動産会社と媒介契約を結ぶ
不動産がいくらで売却できるのかを知るために、不動産会社に査定を依頼します。
査定価格に納得したら、不動産会社と媒介契約を結び、売却活動をおこなって買主を募ります。
媒介契約は3種類ありますが、レインズへの登録や売主への販売状況の報告義務がある「専任媒介契約」もしくは「専属専任媒介契約」がおすすめです。
不動産を売却する
買主が見つかったら、不動産売買契約を結びます。
売買契約を結んだあとは、買主と相談して決めた決済日に売却代金を受け取り、不動産を引渡します。
相続登記に必要な書類
スムーズに手続きを進めるために、必要書類についても把握しておきましょう。
相続登記には、以下のような書類が必要です。
●被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
●被相続人の住民票の除票
●相続人全員の戸籍謄本
●相続人全員の印鑑証明書
●不動産の登記事項証明書
●遺産分割協議書
相続人に関する書類は、相続人が複数人いるのであれば、全員のものが必要です。
必要書類が揃ったら、不動産の所在地を管轄する法務局で申請してください。
相続した不動産の売却にかかる税金と控除制度

次に、相続した不動産を売却する際に発生する税金と計算方法、負担を軽減できる控除制度について解説します。
不動産の売却時に発生する税金
売却時に発生する税金は、以下の4種類です。
●印紙税
●登録免許税
●消費税
●譲渡所得税
それぞれの税金の内容について、順番に解説します。
印紙税
不動産売買契約書は、課税文書の一種であるため、印紙税が発生します。
収入印紙を購入して契約書に貼り、消印することで納付する仕組みになっており、税額は契約金額に応じて下記のように定められています。
●100万円超500万円以下は、2,000円(1,000円)
●500万円超1,000万円以下は、1万円(5,000円)
●1,000万円超5,000万円以下は、2万円(1万円)
なお、令和9年3月31日までに作成される売買契約書については、印紙税の軽減措置が適用され、括弧内の金額になります。
登録免許税
相続登記には、登録免許税がかかります。
登記にかかる登録免許税は、登記の種類によって異なり、相続登記の場合は、「不動産価格(固定資産税評価額)×0.4%」で計算します。
消費税
不動産売却時に利用したサービスに対しては、消費税がかかります。
たとえば、不動産会社の仲介手数料や、司法書士に登記手続きを依頼した場合に支払う報酬などが挙げられます。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、不動産の売却で得た譲渡所得に課される税金のことで、「住民税」「所得税」「復興特別所得税」の総称です。
譲渡所得は、不動産の売却価格から、購入にかかった費用と売却にかかった費用を差し引いて残った利益のことです。
その譲渡所得に税率を乗じて、譲渡所得税を計算します。
譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって決められており、所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」であれば39.63%、5年を超えている「長期譲渡所得」の場合は20.315%です。
控除制度について
相続した不動産を売却する際には、以下のような控除制度が利用できます。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
親と同居していた家を相続し、その家を売却する場合に活用できる特例です。
家の売却で得た譲渡所得から、最高3,000万円の控除を受けられます。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
親が亡くなり、空き家となった実家を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円の控除が受けられるという特例です。
ただし、被相続人が死亡した日から3年を経過した日の属する年の12月31日までに売却することが条件です。
相続した不動産を売却する際の注意点

不動産を売却するうえで、気を付けなければならないことがあれば、事前に知っておくと安心です。
そこで最後に、相続した不動産を売却する際の注意点について解説します。
注意点1:相続登記をしなければ売却できない
前章でも解説したように、相続した不動産を売却する際には、まず不動産の名義を変更する相続登記が必要です。
相続登記は義務であるため、すぐに売却する予定がない場合でも、忘れずに手続きをおこないましょう。
注意点2:不動産の状態を把握する
不動産を売却するときには、契約不適合責任に注意が必要です。
契約不適合責任とは、売却後に契約内容とは異なる瑕疵(欠陥や不具合)が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
相続した不動産は築年数が古いものが多く、瑕疵がある可能性が高いといえます。
売却前に見つかった瑕疵については、買主に告知したうえで契約書に盛り込めば、契約不適合責任を問われません。
したがって、ホームインスペクションを実施し、不動産の状態を把握しておくことが大切です。
注意点3:円滑に遺産分割協議をおこなう
相続した不動産を売却する際には、相続人のあいだで揉めることがよくあります。
たとえば、不動産の売却に反対する相続人が1人でもいれば、遺産分割協議は成立しません。
遺産分割協議が成立しないと売却に進めないため、相続人同士でしっかりと話し合い、円満な成立を目指すことが大切です。
もし揉めごとが起こり、当事者だけでは解決しない場合は弁護士など第三者に相談することも検討しましょう。
まとめ
相続した不動産を売却するためには、まず相続人や相続財産を確定し、不動産を相続する方の名義に変更する「相続登記」が必要です。
また、売却するときにはさまざまな税金が発生するため、どれくらいの税額になるのかを事前に把握しておく必要があります。
相続した不動産を売却するときには、相続人同士でしっかりと話し合い円満な分割をおこなうことと、契約不適合責任に注意し、スムーズで安全な取引を目指しましょう。