
相続税の申告は自分でできる?自分でしても良いケースや申告の流れを解説

相続税の申告を自分でやりたいものの、できるのか不安に思っている方もいらっしゃるでしょう。
申告は自分ですることもできますが、リスクを伴うこともあるため、申告の流れなどを把握したうえで自分でやるかどうかを判断することをおすすめします。
そこで、相続税の申告は自分でできるのか、自分でしても良いケースや申告の流れについて解説します。
相続税の申告は自分でできる?

相続税は、一定額以上の遺産を相続したときに納める必要がある税金です。
申告は、相続開始を知ったときから10か月以内と決められていますが、自分で申告することも可能なのでしょうか。
ここでは、相続税の申告は自分でできるのかを解説します。
相続税は自力でも申告しやすい
結論からいえば、相続税の申告は、自分ですることができます。
実際に、毎年1割程度の方が、自分自身で申告をおこなっています。
とくに、遺産が少ない場合など簡単な相続であれば、自力でも申告しやすいといえるでしょう。
ただし、相続税の申告を自分でおこなうことは、リスクが伴うことも理解しておかなければなりません。
とくに注意すべき点は「申告漏れ」です。
相続税の申告知識が不十分なまま自分で申告をおこなうと、本来であれば、相続財産として計上すべきものを見落としてしまう可能性があるからです。
見落としてしまうと、過少申告と判断され、税務調査が入り加算税を課されるケースもあります。
そのため、自分で申告する際は、このようなリスクも理解したうえで、慎重に判断しなければなりません。
相続税の申告が必要なケース
相続税がかかるかどうかは、相続した財産の金額によって決まります。
そもそも申告が必要ないケースもあります。
それは、相続税には基礎控除額が決められており、相続財産が一定額までであれば課税されないからです。
つまり、基礎控除額に相続財産が収まっていた場合は、相続税を納める必要はありません。
申告が必要なケースは以下の2つの場合です。
●基礎控除額を超えている場合
●特例や控除を受ける場合
相続税の基礎控除額は「3,000万+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。
つまり、この式で相続財産のほうが上回っていれば、相続税がかかるため申告が必要です。
また、相続税には、税額を軽減できる特例や控除がいくつかあります。
基礎控除額を上回っていても、特例や控除を利用することで結果、相続税が発生しないケースがあります。
しかし、特例や控除を受ける場合は、相続税の申告手続きが必要となるため注意しましょう。
相続税の申告を自分でしても良いケースとは?

相続税の申告は、前述したようにリスクを伴う可能性もあります。
そのため、専門家に任せるのが安心・安全ではあるものの、以下のような場合は、自分でしても良いケースといえるでしょう。
●相続財産の総額が多くない
●相続人が1人である
●相続財産のなかに土地がない
それぞれのケースについて見ていきましょう。
ケース①相続財産の総額が多くない
相続した財産の数が少ない場合は、自分で申告をすることを検討しても良いでしょう。
相続税を申告する際は、亡くなった方から相続した財産の相続税評価額をそれぞれ計算する必要があります。
計算方法は、財産ごとに異なり、財産によっては複雑なケースもあります。
現金や預貯金だけであれば、難しくないためご自身ですることも十分に可能です。
ケース②相続人が1人である
相続人がご自身1人のみという場合も、自分で申告しても問題ないでしょう。
なぜなら、相続人が1人であれば、遺産分割協議をする必要もなく、かつ遺産を巡ってトラブルになることもないからです。
また、相続人ごとの納税額を計算する必要がなく、相続税の計算が比較的簡単なためです。
そのため、相続人が1人という場合も、自分で申告をおこなうことを検討しても良いかもしれません。
ケース③相続財産のなかに土地がない
相続財産のなかに土地がない場合も比較的簡単なため、自分で申告するにはおすすめです。
なぜなら、相続税の申告でもっとも難しいとされるのが、土地の評価だからです。
土地を相続すると、まずその土地の評価額を求める必要があります。
しかし、土地は、場所や形状などのさまざまな要因を考慮しなければならないため複雑です。
また、土地に利用できる特例を利用すれば、評価額を減額できますが、この計算も難しいといえます。
そのため、土地が含まれている場合は、できるだけ税理士へ依頼することを検討したほうが良いでしょう。
逆にいえば、土地がなければ複雑化することも少ないため、ご自身で申告することも可能です。
相続税の申告を自分でおこなう際の流れ

最後に、相続税の申告を自分でおこなうときの流れについて解説します。
スムーズに申告手続きをおこなうためにも、手続きの流れについてしっかりと把握しておきましょう。
流れ①申告書の書式を入手する
相続税の申告をおこなう際は、まずは申告書の書式を税務署から入手しましょう。
申告書は全国共通であるため、どこの税務署からでも受け取ることができます。
また、国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。
書式は第1表から第15表まであるため、財産の内容によって、必要な書式だけダウンロードし、プリントアウトすると良いでしょう。
なお、入手する書式は、亡くなった方の年度の書式です。
申告する年度ではないため注意しましょう。
流れ②相続財産評価額を計算する
次に、相続した財産の評価額を計算します。
なお、評価方法は財産ごとに異なるため、国税庁が発表している「財産評価基本通達」に基づき、相続財産を評価しましょう。
流れ③遺産分割協議をおこなう
相続財産評価が済んだら、相続人全員で遺産分割協議をおこないましょう。
遺産分割協議では、誰がどの財産を相続するのかを決めます。
なお、遺言書がある場合は、原則として遺言に沿って遺産分割します。
遺産分割協議で話し合いがまとまれば、遺産分割協議書を作成しておきましょう。
流れ④相続税申告書を作成する
次に、相続税申告書を作成します。
もっとも大切なのは、第1表の申告書で、第2表以降は、それに付随する明細書や計算書のため、必要な書類のみを記入しましょう。
なお、申告書の書き方は、国税庁のホームページ上で紹介されているため、参考にすると良いでしょう。
流れ⑤申告書を税務署に提出する
申告書の作成が終わったら、税務署に提出します。
提出先は、自分の住所がある税務署ではなく、被相続人(亡くなった方)の住所を管轄する税務署であるため注意しましょう。
また、重要なのが提出期限です。
申告書は、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10か月以内に提出しなければなりません。
期限を過ぎてしまうと、加算税(無申告加算税か重加算税)および延滞税といった、二重のペナルティが課せられる可能性があります。
さらに、節税となる特例や税控除も適用されなくなり、結果的に相続税額が高くなるといったケースもあるため注意が必要です。
なお、申告書の提出が直接できない場合は、郵送での提出も可能です。
まとめ
相続税の申告は、相続財産の総額が多くない場合や、相続人が1人の場合、また相続財産に土地がない場合であれば、比較的自分でも申告しやすいでしょう。
しかし、本来であれば、相続財産として計上すべきものを見落としてしまうと、申告漏れと判断され、さまざまなペナルティが課されるケースもあるため注意が必要です。
また、自分で申告する際は、あらかじめ申告の流れや期限などを確認しておくと、スムーズにおこなえるでしょう。