親が認知症になる前にできる相続対策とは?空き家となるリスクも解説

日本では、認知症の割合が年々増えており、いざという時に備えて、対策を練っておくことが重要とされています。
とくに遺産のなかに不動産がある場合は、相続人同士でトラブルになりやすく、スムーズに遺産分割ができないケースもあるため、早めの対策が必要です。
そこで、親に認知症の兆候があるときはどうすれば良いのか、遺産分割協議や話し合いが成立しないときのリスクについて解説します。
親に認知症の兆候がある場合にできる相続対策とは?

「親のもの忘れがひどくなった」「人柄が変わったように感じる」など、親に認知症の兆候が見られた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
認知症の兆候があるにもかかわらず放置してしまうと、さらに症状が進んでしまうことになるため、早めに対処することが大切です。
ここでは、親に認知症の兆候がある場合どうすべきなのか、また相続対策についても解説します。
認知症の兆候が見られる場合は医療機関を受診する
もし、親に認知症のような兆候が見られる場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
医療機関を受診せずに放置してしまうと、症状が進んでしまい、日常生活に影響が出る可能性があるためです。
たとえば、認知症が進むと自宅に戻れなくなったり、事件や事故に巻き込まれてしまったりと、命に関わる危険もあるかもしれません。
そのため、早い段階で医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
判断能力が残っている場合は相続対策をおこなっておく
認知症発症前もしくは認知症が軽度で、判断能力が残っているのであれば、早めに相続対策をおこなっておくことをおすすめします。
たとえば、「遺言書の作成」「生前贈与」「家族信託」「任意後見制度」などが挙げられます。
本人に意思能力がある場合は、遺言書を作成しておくことや生前贈与しておくのがおすすめです。
また、保有する財産を信頼できる家族に託す「家族信託」も検討しておくと良いでしょう。
これらの対策を判断能力が残っているうちにやっておくと、その後の相続や財産管理がスムーズにおこなえる可能性が高くなります。
ただし、正常な判断能力が欠けていると判断されれば、無効とされてしまう可能性があるため注意が必要です。
親の認知症における相続対策は早めに!遺産分割協議について

相続が発生すると、どの遺産を誰が相続するのかを決める「遺産分割協議」をおこなうのが一般的です。
しかし、なかには遺産分割協議がスムーズに進まず、こじれるケースも珍しくありません。
そのため、できれば親が元気なうちから、意見を出し合い話し合っておくことが理想といえるでしょう。
ここでは、そもそも遺産分割協議とはなにか、またトラブルになるデメリットや、生前にできる対策を解説します。
遺産分割協議とは
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方について話し合うことをいいます。
通常、遺言書が作成されてあれば、その内容に沿って遺産分割をおこないますが、遺言書がない場合は遺産分割協議をおこなわなければなりません。
トラブルにならないためには、相続人全員が納得できるように、しっかりと話し合うことが大切です。
遺産分割協議で話し合いがまとまると、遺産分割協議書を作成し、署名と実印の押印をします。
遺産分割協議で揉める・トラブルになるケース
遺産分割協議では、必ずしも話し合いがスムーズにいくとは限りません。
とくに、遺産のなかに不動産が含まれている場合や、相続人同士が仲が悪い場合は、話し合いが進まずこじれる可能性もあります。
さらに、相続人が高齢の場合、分割協議している途中で相続人が亡くなる「二次相続」が生じるケースも少なくありません。
このような場合は、2回分の遺産分割を話し合う必要があり、スムーズに話がまとまらなくなってしまうのです。
このように、遺産分割協議がまとまらないと、家庭裁判所にて調停や審判を利用することになります。
遺産分割がスムーズに進まないと、手間と時間がかかってしまい、精神的な負担が大きくなりやすくなるでしょう。
また、相続税は相続の開始から10か月以内に、遺産分割協議書を添えて、相続税の申告をおこなわなければなりません。
くわえて、あまりにも時間がかかりすぎると、相続税の控除を受けられなくなる可能性も出てくるため注意が必要です。
生前から遺産分割について話し合っておく
遺産分割協議を少しでもスムーズにまとまりやすくするためには、親が元気なうちから話し合っておくことが大切です。
日頃から相続人になる方たちと協議し、意見をまとめておけば、いざ相続が発生した際に分割しやすくなります。
それにくわえて、相続するものや売るものを整理しておき、全員で共通認識をもっておくとスムーズでしょう。
早めに準備することで、さまざまなトラブルを回避できるうえに、相続人も早いうちに人生設計を立てやすいといったメリットが得られます。
遺産分割協議が成立しないリスクとは?相続後の空き家対策も解説

遺産分割協議には、いつまでに完了させなければならないという期限はありません。
そのため、相続人同士で意見がまとまらず、長い間協議が成立しないといったケースもあります。
しかし、遺産分割協議がまとまらないと、相続財産の管理に支障をきたす可能性があるため注意しなければなりません。
なかでも問題となるのが、相続した不動産を空き家として、そのままにしてしまうリスクです。
ここでは、空き家として放置するリスクや対策について解説します。
空き家を放置するリスク
近年は、相続などにより所有することになった家が「空き家」として放置されているケースが増えてきています。
しかし、空き家を放置してしまうと、さまざまなリスクを伴うため注意しなければなりません。
もっとも注意しなければならないのは、「特定空家」です。
特定空家とは、倒壊など危険となるおそれのある場合や、衛生上有害となる恐れがある場合、著しく景観を損なっているなどの理由で、放置することが不適切と判断された空き家のことです。
また、空き家を適切に管理せずに放置すると、建物の老朽化が加速し、自然災害などにより倒壊する恐れも出てきます。
さらに、換気や掃除を怠れば害虫などが発生し、近隣住民へ多大な迷惑をかけることになるでしょう。
そして、特定空家に指定されれば、これまで適用されていた住宅用地の特例を受けることができなくなり、固定資産税が上がる可能性もあります。
このように、空き家として放置することは、多くのデメリットやリスクが発生してしまうため、注意しましょう。
空き家問題への対策
上記のような空き家におけるリスクを回避するためには、どのような対策をおこなえば良いのでしょうか。
もっとも大切なことは、適切に管理することです。
たとえば、定期的な換気や通水、掃除などをおこない、必要に応じて修理するといったことが挙げられます。
また、管理が難しい場合は、管理会社に委託するという選択肢も検討しましょう。
それでも難しいという場合には、不動産会社に依頼して売却するのが良いでしょう。
まとめ
親の認知症が発症すると、遺言書の作成や生前贈与などの法律行為が無効とされてしまいます。
そのため、判断能力が残っているうちに相続対策をしておくことが大切です。
とくに、不動産を空き家のまま放置してしまうと、多くのリスクが生じるため、元気なうちからみんなで話し合っておくことをおすすめします。