相続土地国庫帰属制度とは?手続き費用や5つのメリットを解説

相続手続き

相続土地国庫帰属制度とは?手続き費用や5つのメリットを解説

2023年4月27日から「相続土地国庫帰属法」が施行され、相続した土地を国に引き取ってもらえるようになりました。
管理が難しい土地を相続する場合、この制度が新たな選択肢となります。
この記事では、相続土地国庫帰属制度とはなにか、費用や手続きの流れ、そして制度のメリットについて分かりやすく解説します。

相続土地国庫帰属制度とは?

相続土地国庫帰属制度とは?

相続土地国庫帰属法は、相続や遺贈によって取得した土地を国に引き渡すことができる制度です。
この制度は、相続人の土地所有による負担を軽減し、管理が困難な土地の放置や荒廃を防ぐことを目的としています。
相続した土地が不要であっても、これまでの制度では相続放棄以外に選択肢がなく、プラスの遺産と一緒に抱え込むケースが多くありました。
相続放棄を選ぶと、故人が残した家や預貯金といった他の資産も一緒に放棄しなければならず、経済的な損失を被る場合があります。
相続土地国庫帰属制度は、こうした問題を解決するために導入されました。

制定の背景

土地の相続に関する問題は、特に地方や過疎地で深刻化しています。
人口減少や高齢化に伴い、相続した土地を維持管理できず、放置されるケースが増えています。
こうした土地は荒廃し、近隣の景観や安全に悪影響を及ぼすだけでなく、所有者不明の土地として地域の発展や利活用の妨げとっているのが現状です。
これらの土地は、地域のインフラ整備や災害復旧の妨げとなるだけでなく、自治体の財政を圧迫する原因となります。
こうした土地の増加は、地域全体の発展を阻害し、さらなる人口流出を招くリスクがあります。
国庫帰属制度は、このような課題を解決し、土地の有効活用と適切な管理を促進するために導入されました。

誰が申請できるか

相続土地国庫帰属を申請できるのは、以下の条件をすべて満たす方です。

●相続人であること
●相続や遺贈により土地を取得したこと


この制度を利用するためには、相続人であることが条件です。
相続人とは、故人の財産を受け継ぐ権利を持つ方で、通常は配偶者や子どもなどの親族を指します。
遺贈により土地を受け取った場合も、相続人である必要があります。
また、生前贈与で受け取った土地は、この制度の対象外です。
こうした制約は、制度の透明性と公平性を確保するために設けられています。

対象となる土地の要件

相続土地国庫帰属が認められるためには、土地が以下の10項目の条件を満たしていなければなりません。

●建物がある土地
●抵当権や収益目的の権利が設定された土地
●他人が使用している土地(通路など)
●土壌汚染がある土地
●境界が不明確な土地
●崖があり管理に過剰な費用がかかる土地
●地上に工作物や樹木がある土地
●地下に除去が必要なものがある土地
●隣接地の所有者と争いがある土地
●管理や処分に過剰な費用や労力がかかる土地


これらの条件を満たしていない土地は、相続土地国庫帰属を申請することができないため、注意しましょう。

相続土地国庫帰属の申請手続きと費用

相続土地国庫帰属の申請手続きと費用

相続した土地を国に引き渡すための申請手続きと、その費用について解説します。

相続土地国庫帰属の申請手続きの流れ

相続土地の国庫帰属を申請する際は、土地の所在地を管轄する法務局または地方法務局に手続きを行います。
以下が手続きの流れです。
承認申請
最初に、必要書類を揃えて承認申請を行います。
この際、審査手数料は1筆あたり14,000円です。
主な必要書類は以下の通りです。

●承認申請書
●土地の位置と範囲を示す図面
●土地と隣接する土地の境界を示す写真
●土地の形状を示す写真
●印鑑証明書
●(任意)固定資産税評価額証明書、現地案内図、境界に関する資料


法務局のサイトに申請書の記載例があるので、参考にすると良いでしょう。
書面審査・実地調査
提出した書類が法務局で審査され、必要に応じて実地調査も行われます。
実地調査では、法務局の職員が現地を訪問し、提出された図面や写真と実際の土地の状況が一致しているかを確認します。
また、土地が荒廃していないか、隣接地との境界が明確かといった点も重点的にチェックされるでしょう。
審査で却下理由や不承認理由がない場合、申請が承認されます。
承認
審査を通過すると、承認と負担金額が通知されます。
負担金は、土地の管理費用として10年間分を前払いする形で算出されます。
負担金の納付
認の通知を受けた日から30日以内に負担金を納付します。
納付が遅れると承認は無効となります。
国庫帰属
負担金の納付が完了した時点で、土地の所有権が国庫に移ります。

相続土地国庫帰属の費用と負担金

審査手数料
土地1筆あたり14,000円の審査手数料が必要です。
負担金
負担金は、土地の種目や面積により異なります。

●宅地:原則20万円。ただし、市街化区域や用途地域にある場合は面積に応じて計算(例:200㎡で約79万3,000円)
●田、畑:原則20万円。市街化区域や農用地区域の場合、面積に応じて計算(例:1,000㎡で約112万8,000円)
●森林:面積に応じて計算(例:3,000㎡で約29万9,000円)
●その他(雑種地、原野など): 一律20万円


これらの負担金は、土地の管理費用を見積もって10年分を前払いする形となっています。

相続土地国庫帰属制度の5つのメリット

相続土地国庫帰属制度の5つのメリット

相続土地国庫帰属制度には、不要な土地を選んで手放せる、農地や山林も対象となる、引き継ぎ先を探す手間がない、国が管理する安心感、損害賠償責任が限定的といったメリットがあります。
ここでは、相続土地国庫帰属制度の5つのメリットを詳しく解説します。

メリット①:不要な土地だけを手放せる

これまでは相続放棄を選ぶと、すべての遺産を放棄する必要がありました。
そのため、不要な土地を引き継がざるを得ないケースも多くありました。
しかし、この制度では不要な土地だけを手放し、他の資産は相続できるため、経済的負担や近隣トラブルのリスクを軽減できます。

メリット②:農地や山林も対象

農地や山林は、従来は手放すのが難しいとされていました。
農地法の制約や手続きの煩雑さ、山林の境界不明や管理の難しさがその理由です。
この制度では、農地や山林も含めて公平に審査され、条件を満たせば国に返還できるため、管理が困難な土地を手放すことが可能です。

メリット③:引き継ぎ先を探す必要がない

不動産を売却する際、多くの人が買い手探しに苦労します。
特に需要の少ない地域では、土地や空き家の買い手が見つかりにくいのが現状です。
この制度では、国が引き受け先となるため、買い手や業者を探す手間が省けます。
手続きも法務局で行えるため、わかりやすいのが特徴です。

メリット④:国が管理する安心感

個人や業者に土地を引き渡す場合、管理が適切でないとトラブルが生じることがあります。
一方、この制度では、国が引き受け先となるため、管理が安心できます。
国有地として適切に管理されるため、近隣住民からのクレームや不法行為のリスクが軽減されるでしょう。

メリット⑤:損害賠償責任が限定的

不動産売買では、土地に瑕疵がある場合、売主が責任を追及されることがあります。
しかし、この制度では、損害賠償責任が限定的です。
国が定めた条件を満たさない土地を意図的に隠した場合を除き、売主が賠償責任を負うリスクは少なくなります。

まとめ

相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した土地を国庫に帰属させるための仕組みです。
特定の条件を満たす土地を対象に、一定の負担金を支払えば、管理困難な土地を国に引き渡せます。
相続人にとって、不要な土地を適切に処分できる新しい選択肢として、今後の活用が期待されています。


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