相続における寄与分とは?認められる要件や特別寄与料の概要も解説!

相続手続き

相続における寄与分とは?認められる要件や特別寄与料の概要も解説!

不動産や資産を相続するときに、「寄与分」や「特別寄与料」などの言葉を耳にすることがあるかもしれません。
これらは、相続に関わる重要な概念であるため、事前に意味や認められる要件を押さえておくことが大切です。
そこで今回は、相続における寄与分や認められる要件とは何か、特別寄与料とはどのような費用かについて解説します。

相続における寄与分とは何か?

相続における寄与分とは何か?

相続が発生したときには、各法定相続人の法定相続分に基づいて財産を分ける形が一般的です。
しかし、寄与分が認められると、相続できる財産が増える可能性があります。
相続時の損を防ぐためにも、まずはどのような制度なのかを押さえておきましょう。

寄与分とはどのような制度か?

寄与分とは、亡くなった方の財産の維持・増加に特別な貢献をした相続人に対して、その貢献度を評価し、相続分以上の取り分を認める仕組みです。
たとえば、亡くなった方の介護にあたっていた、事業の発展に大きく貢献したといったケースでは、その努力が正当に評価される形で寄与分が算定されます。
相続は原則として法定相続分に基づいておこなわれますが、相続人のなかには亡くなった方の財産を増やすために多大な貢献をした方もいます。
そうした相続人の努力を公平に反映する制度です。

寄与分で受け取れる金額

寄与分がいくらなのかは個別の事情によって異なるため、一概にはいえません。
金額については、基本的に相続人による話し合いで決める形となりますが、決着が付かないときには家庭裁判所の調停で決められます。
たとえば、亡くなった方の介護に従事していたことにより仕事ができなかったケースでは、本来もらえるはずだった年間給与などが考慮されて金額が導き出されます。

相続における寄与分が認められる要件

相続における寄与分が認められる要件

寄与分が認められるためには、一定の要件を満たす必要があります。
ただし、家族として生活をともにしていただけでは認められないこともあるため、法的基準を理解することが重要です。
ここでは、認められる要件について解説します。

5つの要件

寄与分が認められるためには、以下の5つの要件を満たす必要があります。

●相続人である
●財産の増加や維持に対して実質的な貢献があった
●特別な行為である
●無償の行為である
●継続性・具体性がある


そもそも法定相続人でなければ主張はできません。
たとえば、相続権を持っていない内縁の妻や長男の妻などが亡くなった方の生前に介護をおこなっていても、権利は認められない点に注意が必要です。
また、単に同居している親の面倒を見るだけでは不十分であり、あくまでも「特別な寄与」でなければ認められません。
くわえて、短期的な行為ではなく、一定期間継続しておこなわれた努力である必要もあります。
介護をおこなう代わりに報酬を受け取っていたなどの有償行為も、寄与分の対象とはなりません。

5つの型

亡くなった方に対する貢献が寄与分として認められる行為は、以下5つの型に分類されます。

●事業従事型
●金銭出資型
●療養看護型
●財産管理型
●扶養型


たとえば、亡くなった方が生前に営んでいた企業において、仕事を無償で手伝っていたときには寄与分が認められます。
また、亡くなった方が住む家のリフォーム代などを負担した、健康管理や介護を長期間にわたっておこなった、財産を管理して維持に貢献したケースも寄与分の対象です。
そのほか、亡くなった方と同居しながら生活を支援していたケースも対象となりますが、期待値を超える特別な貢献でなければなりません。
たとえば、「介護度的にヘルパーに手伝ってもらって介護をする必要性があったが、それをすべて自分で、かつ無償でおこなっていた」などのケースです。

寄与分は認められにくい

寄与分が認められるには、さまざまな要件をクリアしなければなりません。
しかし、要件が厳しいため、現実的には寄与分が考慮されることはそう多くはない点に注意が必要です。
また、亡くなった方の生前に特別な貢献をしたことを主張しても、それを裏付ける証拠がなければ認められにくい点にも注意しましょう。
ケースによっては、「やった」「やっていない」と相続人の間でもめる原因となりかねません。
そのため、介護にかかった費用の領収書を残しておく、日記を付けておくなどの行為が大切となってきます。

時効はある?

寄与分は相続開始後に主張できますが、時効はありません。
ただし、相続人の間で話し合って誰がどの財産を受け継ぐのかが決まると、以降は寄与分を主張できない点に注意が必要です。
そのため、亡くなった方の生前に介護など特別な貢献をした事実があるときには、できる限り早くほかの相続人に対して主張することが大切です。

相続における特別寄与料とは何か?

相続における特別寄与料とは何か?

長男の妻など相続人以外が亡くなった方の生活を支えたり、介護をおこなったりすることは珍しくありません。
そのような特別な努力を正当に評価するために設けられたのが、特別寄与料の制度です。
ここでは、制度の概要や認められる条件について解説します。

制度の概要

特別寄与料とは、相続人でない親族が亡くなった方の介護や支援などに特別の貢献をしたときに金銭を請求できる制度です。
2019年の民法改正により新設され、従来の制度では報われなかった貢献を評価する仕組みができました。
たとえば、長男の妻が亡くなった方の生前に介護をおこなっていても寄与分は請求できませんが、特別寄与料は主張可能です。

認められる条件

特別寄与料は、配偶者や子ども以外の親族が対象です。
具体的には、6親等以内の血族、3親等以内の親族であれば主張できるので、祖父の兄弟の孫や妻の甥なども該当します。
寄与分とは異なり、特別寄与料が認められるのは、「亡くなった方の生前に必要となった介護などを報酬を受け取らずに提供した」ときに限ります。
つまり、亡くなった方の家をリフォームして介護しやすくしたなど金銭を負担したケースでは認められません。
また、自動的に認められるものではなく、相続人に対して請求する必要がある点にも注意が必要です。
ただし、直接ではなく、家庭裁判所を通じて請求する形となります。
請求できる期間は、相続が始まったことを知ったときから6か月、もしくは相続が始まったときから1年以内です。
そのため、特別寄与料を請求したいのなら、相続人による遺産分割協議の結果を待たずに速やかに家庭裁判所に申し立てることが大切といえます。
自身が対象となるかがわからないときには、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。

請求時の注意点

もし、特別寄与料が認められて金銭を受け取ったときには、相続税を納める必要があります。
ただし、本来の相続税に2割加算した金額を納めなければならない点に注意しましょう。
配偶者や子どもなどの相続人以外が亡くなった方の財産を受け取るときの2割加算ルールが適用されるためです。
ただでさえ、負担の大きい相続税がさらに2割増しになると、家計を圧迫しかねません。
そのため、特別寄与料を主張したほうが良いかどうかは、納めることになる相続税額を踏まえたうえで検討することをおすすめします。

まとめ

寄与分とは、亡くなった方の財産形成や生活支援に特別な貢献をした相続人に対して、公平な分配を実現するための制度です。
寄与分が認められるには、5つの要件のいずれかを満たす必要があり、かつ無報酬での行為でなければならない点に注意しましょう。
また、相続人以外の親族でも、亡くなった方の生前に無報酬で介護をおこなっていたときには、特別寄与料を主張できることがあります。


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